夢 いろいろ

大きな白い宮殿の、赤いカーペットが敷かれた階段を降りていく。いろんな人に挨拶をしながら。すると、2階の踊り場でおばあちゃんに出会った。ここにいるべきではないような、みすぼらしい格好をしていた。彼女は僕にこういった。

「鹿に会わねば」

「鹿、ですか?」

孔子はな、鹿に会うために何回も寺に行ったのじゃ」

「はあ」

「だから彼は修験道を拓くことが出来たのじゃ。君も、鹿に会いに行かねばならん」

「どれくらい通ったのですか」

「ええ?」

「何回寺に通ったら鹿に会うことができたのですか」

「知らんわ、でも彼は通い続けた」

「何回ですか」

「…………」

彼女は2階の廊下へ消えていった。

僕は1階に降りて箱庭に出る。友達たちは皆黒いスーツを身にまとい、写真撮影の準備をしていた。どうやら僕を待っていたらしい。

友達1「あれ、あゆみだ」

僕「よう」

友達2「お前、死んじまうぞ」

僕「え?」

友達2「プーチンのこと、チキンって呼べなかったみたいじゃないか。約束を破ったね」

友達3「仕方ないさ。まさかプーチンの名前が変わってチキンになってるなんて思わないだろ。あいつに向かって「このチキンめ!」って言っても罵倒にならなくなってしまったんだ」

僕「そういえば、そんな約束してたな」

友達2「おい、どこ行くんだよ」

僕「お爺さんのうちさ。このオルゴールを渡さないと」

僕はカメラマンと三列に並ぶみんなの間を横切り、芝生の上を、遠くに見える丘に向かって歩いていった。

 

おしまい