おじいちゃん

朝昼枠稽古の昼休み。

母親から、稽古を早く切り上げて今日こっちに来てくれないかというLINEが来た。

朝9時頃、「スーツどこにある?」と聞かれたことを思い出した。

僕はすぐに察した、おじいちゃんが危ないのだろうと。

おじいちゃんは一年ほど前から癌を患っていた。しばらく経って、それは全身に転移していたらしい。それを聞いた時一刻も早く帰ろうかと思ったが母親曰く、すぐに死ぬ訳では無い、ということで帰らなかった。

 

そして今日に至る。今、おじいちゃんは危篤状態。母親と電話して帰ることを決めたが昼枠稽古がある。仙台にいる父親と一緒に車で帰ることにした。とりあえず昼枠稽古はやり切るつもりだった。が、昼枠稽古の途中、急いでくれと母親から連絡が来たので急遽切り上げて解散した。みんなに謝った。とても申し訳ない。みんなと関係ない人の存在がみんなを足踏みさせることが…………

 

家に帰ってから支度した。まだ時間があったので、食器を洗った。部屋の間接照明を地震に備えてデスクから下ろした。ふと、葬式するとしたら髪色戻さなくちゃいけないかなと思った。ピアスも外さなきゃダメかな?支度の時いちばん気にしたのは化粧品類だった。別に悪いことじゃないけど、昔の自分と変わったことがなんだか申し訳なくなった。綺麗になりたいだけなんだけど。普段の僕を、僕の生きる様をおじいちゃんに見せてあげられなかったのが悔しくなってきた……。

 

今、父親の車で秋田に向かっています。いつもはお金を気にして高速に乗らないんだけど、今日は高速。

 

間に合うといいな。待ってておじいちゃん。